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アプローチを庭として  本質を暮らす贅沢な家より

アプローチを庭として 

尾山台の家は敷地46坪程度、しかも道路から20mほど入り込んでいる敷地延長の土地である。そこに1,2階合わせて弱坪の家が建っているのだから、建物のまわりは1〜1.5mほどしか残っていない。庭らしい庭はつくれないことになる。

以前から二人ともグリーンに囲まれて生活したいと思っていたが、マンション住まいが長く続いてしまった。

便利だからと紺屋の白袴を言い訳にしていたが、緑ゆたかな広い庭と考えると敷地は最低100坪は欲しい、首都圏では資金的に無理と半ばあきらめていた。

いくつかの理由が重なり今回の家づくりとなったが、その時点で庭はあきらめた。しかし、ラッキーなことに20mも入り込む敷地延長の土地が与えられた瞬間、京都の美しい路地がイメージされた。この細長い通路をモダンなアプローチとし、庭と見立てようとの発想が二人の脳裏に浮かんだ。

敷地延長でアプローチを庭として

たち二人の日常を見つめると、休日は週に1日、帰宅時間も遅い。あこがれた広い庭があっても、たのしむ時間はないと気づいた。アプローチは毎日何度となく歩く。ここを気持ちのいい緑の空間にすれば、日常の中でたのしめる。

たまの休みに庭いじりという発想ではなく、毎日歩く通路をグリーンの道とすれば自ずとささやかでも自然と緑に触れられると考えた。

また道路から玄関までは1.2mほど上がっている。この段差をゆったりとした階段でつづれ折のようにし、その脇に緑を配置していくと考えた。直線の最短距離としないで僅かでも緑に接する時間を長くとの思いだ。

アプローチは道路から5.5mは駐車スペースとしてとられたが、その分玄関の外のスペースを介して細長い庭が敷地一杯続き、目線的に緑が一連に続く設計となっている。

そしてその緑もまた、時間も知識も乏しい二人を考慮してか、手間暇のかからない草木が選ばれた。

入居してまもなく2年になろうとしているが、結果は大正解である。とてもきれいなアプローチとなった。四季の変化と草木の成長をたのしめる飽きのこない細長い庭である。通るたびに緑で癒され満ち足りた気分を味わっている。一番下の娘である甲斐犬のカィも散歩の出入りに下草の一本を噛み取り、味わい、気分が良さそうである。

家づくりのポイントは毎日の生活をゆたかにすることにあると思うが、庭づくりも全く同じだなと思いをあらたにしている。

若林礼子(2008.9故人となりました)
本質を暮らす贅沢な家より


敷地延長でアプローチを庭として

尾山台の家
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