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アレルギーの原因が住まいにあった
                                        1994年の告発
 
アレルギーの原因が
住まいの中のカビやダニにあるということは
かなりショッキングなことだった。

 しかも畳やじゅうたんの中には数十万・数百万の単位で、布団の中にいたっては億単位のダニがいるということが新聞や書物で発表された。

 こうしたニュースが流れるや、薬品メーカーや電気機器メーカーはダニ撲滅のための商品を次から次へと売り出していった。カビの原因は湿気にあるということで、除湿器、除湿剤が売れに売れまくった。布団のダニを何とかせねばと布団乾燥器がヒット商品となった。

 カビとり剤・殺虫剤は言うに及ばず、畳もカーペットも抗菌・防虫処理商品。掃除機もダニ退治機能つき。誰もがダニとり機能つきの商品の方に手を出すという状況だった。

 現在では、掃除機のほとんどがダニとり機能がついているし、掃除機の紙パックも防虫・抗菌加工。気をつけて住まいの中を見回したら、寝具も肌着も、台所の布巾もスポンジも冷蔵庫の野菜ケースもみんな抗菌処理がされている。

 菌を殺すという表示には清潔というイメージでもあるのだろうか。あるいはそういうイメージをメーカーがつくってきたのかどうかはわからないが、虫でも微生物でも殺す、殺傷能力があるということは毒性があるといことに他ならない。人間も生物なのだから何の影響もでないという保証はないだろうに。

 いずれにしてもカビをとる、ダニを殺すという商品が巷にあふれた。人間への多少の害に目をつぶってまでバラまかれた殺虫剤。それによってダニは住まいから本当に消えたのだろうか。

 一時的にダニが少なくなったとしても、ダニの繁殖条件が整っている限り、またダニに悩まされることは目に見えている。だからこそ薬剤が売れ続けている訳である。もっと根本から対処していかない限りダニとの戦いは続きそうだ。

 そして今、日本人の三人に一人とも二人に一人とも言われる程アレルギー患者が増えている。アトピー性皮膚炎に代表される皮膚への症状、そして喘息などの呼吸器へ、花粉症・鼻炎など目や鼻にとその症状がでている。

 こんなにもアレルギーが急増している背景には、環境汚染により、空気も水も土壌も汚染されたこと そして空気、水、土壌の汚染は結果として私たちの口にする食品すべてを汚染してしまっているということにも原因がある。

 同時に、私たちにとってもっとも身近な環境である住環境にその根本原因があり、その対処として設備あるいは薬剤に頼らざるを得ないということが大きな問題である。

 
ダニ繁殖の原因は湿気にあるのだから、湿気ということで今の住まいを見直していくことが最も優先されてしかるべきではないのか。

 湿気がこもるということは、風通しが悪いということと同意語である昔の住まいは、窓を開けると、風の強い日は家の中のものが飛んでしまう程、良く風が抜けた。

 障子や襖を開ければ、家の中すべてに風を通せた。夏などは襖や障子をとりはらっている家も多かった。
 ところが今の住まいはどうだろう。窓を開けても風が抜けないのではないだろうか。確かに南面には窓があるけれど、北側はほとんど小窓しか設けられていない。西側も夏の西日を考えてあまり窓がない。入り口と抜け口があってはじめて風が通るのであって、これでは風の抜けようがない。

 万一、どの面にも窓があったとしても、残念ながら、今の家では風は抜けない。何故なら、家の中が開放的につくられていないからだ。

 引き戸の少なくなった住まい、そして中廊下のある住まい、廊下の左右に個室が並んでいる住まい、こうした住まいは、家の中が壁で分断されているため風が抜けるのを遮断してしまう。また太陽の日差しも奥まで差し込まず冷えている。

 湿気がこもってジメジメしているところは、風通しが悪く、冷えている、空気のよどんでいるところではないだろうか。北側の和室や納戸、押入、使っていない、換気の悪いところからカビてくるのはそのためである。

 壁も昔は柱や梁が室内に見えていた真壁づくり、今は柱や梁をビニールクロスで覆ってしまう大壁づくり。

 漆喰や木などの自然の素材は、湿気が多い時には湿気を吸、乾燥してくると湿気を出すという吸放湿性があったため、室内の湿気の調整をしてくれていた。

 窓も昔のように隙間風が入ってくる木製の建具から気密の良いアルミサッシへと変わり、室内の湿気が外へ逃げなくなった。おまけに生活をしていれば相当の湿気が室内に出される。風通しの良かった住まい、そして、湿気ということから家を守ってくれていた自然の素材というものの良さを今改めて見直したい。

若林礼子  (2008.9に故人となりました。)
book 「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行 より
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