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増え続ける化学物質

2003年の告発


増え続ける化学物質


どうして人は懲りないのだろう。化学物質の実害を知りながら、性懲りもなく毎日毎日新たなる化学物質の製造開発に余念がない。害と判明するまでには時間がかかる、だから消えては増え消えては増えと繰り返されている。その新しい化学物質が生まれるまでに、どれほどの動物実験が行われ、どれほど罪のない小動物の命が絶たれているかご存知だろうか。

ペット産業が伸びに伸びている現代、ペットショップが街のあらゆるところにオープンする。そして売れ残った子どもたちが動物実験の餌食になっているという。もちろん生み捨て、動物虐待など無責任な飼い主の反省はしなければいけないけれど、害と承知の化学物質を生み出すために、尊い命をささげるのは許せない。

害の生じる恐れがあるから実験し、どのレベルまでならぎりぎり使用できるかの判断をするわけである。そして個々の化学物質が基準レベルをクリアーしたからといって、身のまわりの品物が化学物質を含んでいたら、総量では有害になってしまうのではないか。またそれぞれの物質が身体の中で何か予期せぬ物質を生んでしまうような危険性はないのか、考えると恐ろしい。

そしてそうした化学物質から気化した毒物が私たちのまわりに浮遊している。

空気汚染の怖さは、肺から即血液中へと溶け込み、中枢神経や脳などへ影響を与えることである。

もちろん毒は口からも皮層からも入る。呼吸からの毒の影響が瞬時であるのに対し、皮膚からは約二四時間で全身にまわると言われる。

口から入る食べ物の毒は肝臓などの解毒作用もあるが、時限爆弾的にまさしく知らず知らずのうちに身体を蝕んでいくことになる。

室内空気汚染の問題が露呈して久しい・家をつくる時の建材やさまざまな素材に潜んでいる化学物質、購入した家具をはじめあらゆる日用品に使われる化学物質。



一方で起こった自然素材ブーム・他のメーカーに遅れじと、安全、健康を売り物にした建材が出回っている。健康食品ブームと同じで、いい加減なものも紛れ込むのではと懸念される。

ところで現段階で基準値が設けられている化学物質はほんの数種類。
現実にはその数十倍以上の有害な化学物質が使われているはず。

一つひとつの基準値の見直しも行われているが、基準値があるということはその基準をクリアーさえすれば良いこととなり、基準のバーが低かつたり、基準値を設けた化学物質の数が増えれば増えるほど総量規制を設けないと、かえって危険なことにもなり得る。



すべて人の手でつくるものなのだから、そこに良心というエナジーが強く働けば、こんな問題は起こらない。
商品開発の動機が、少しでも安く、楽な施工ができて、見かけの良いものをつくり儲けるという志向である限り世の中は変わらない。


しかも新商品の開発元は、自社の商品へのクレームを避けることには余念がないが、その商品の機能がきちんと発揮するような使われ方をされているかどうかとなると、途端にテンションがさがる。

食品業界がケミカルと細菌の戦いの中で、会社をとるか、消費者の健康を優先させるかのジレンマに陥っている姿と近いところがありそうだ。

ジレンマに悩んでくれるくらいの良心があればむしろうれしい。金儲けのために人の健康をそして環境へのリスクを無視した商品づくりだけはしてほしくないと願うばかりである。

いずれにしても化学物質が増え続け、化学物質過敏症の人口も増えているという現実にどう自衛するかである。しかも化学物質過敏症の原因は複雑なだけに究明が難しい。空気、水、土壌といった環境因子から、食べ物、身のまわりの化学物質まで何が原因となっているかの特定がなかなかできない。


実はその数ある要因のすべてが関わっていて、総量としてのキャパシティを超えたところで発病している。




そうした中の自衛の一つとして、飲み物、食べ物への配慮。シャンプー、リンスから洗濯物、せっけん、台所、浴室、トイレ等の洗剤を石鹸に変える。化粧品も無添加に。衣類の防虫、園芸やゴキブリ、蝿、蚊の殺虫剤などは使わない。など、個人でもでき得る防衛策だ。

さらには、家づくりそのもの、毎年数千種類もの化学物質が開発されている現状を考えると、杉や桧、漆喰などの自然素材でつくられる家、太陽の恵みや風が建物の隅々まで行きわたる家といった日本人にとって当たり前だった家づくりがベストではないかと思う。

いずれにしても、一人ひとりがもっと自然で安全な物へと志向することで、地球もクリーンになっていく、まずは実践あるのみと思う。


若林礼子  (2008.9に故人となりました。)
book 「やっと出会えた本物の家」2003年発行 より


増え続ける化学物質過敏症




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