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冬でも建物の中を空気の流れる家   やっと出会えた本物の家より

冬でも建物の中を空気が流れる家

通風や通気のいい夏の家は、建物を湿気から守ってくれます。
夏の家から衣替えして、冬モードにした場合の空気の流れを少し詳しく見ていきます。

木材を湿気から守るキーワードは、「流れる空気に触れさせる」です。

土台などの構造材ばかりでなく下地に使われる木材などすべてが、流れる空気にさらされることが求められます。

パッシブな家の構造では、木材は三ケ所で流れる空気に触れます。
一つは室内空間、二つは躯体内空間、三つは通気層内です。


パッシブな家は、国産の骨太な柱や梁が室内空間に露出する設計が多いですし、床・壁・天井にも国産の無垢板が多用されます。そして、室内空間は中廊下で仕切られない広がり空間ですから、それらの木材は、室内の流れる空気に十分に触れることができます。
 

躯体内空間は、外張り断熱されたボード内側の、床下空間そして一階と二階の間のふところ空間さらに小屋空間、それらを、柱と柱の間の内壁空洞で一連につなげ空気の流れを可能とした空間です。

この空間に存在する木材は、さまざまです。土台や柱そして梁などのメインの構造材ばかりではなく、下地の胴縁、畳下地の杉板、納戸や押し入れの下地板などです。

通気層は、外張り断熱ボードの外側で、すべての屋根面と壁面に存在します。ここには、通気層を確保するための胴縁そして屋根の野地板などが存在しています。

この3ヶ所の空洞をつぶさに見ていくと、住宅に使用されている木材の、ほとんどすべてが存在しています。従って、冬の衣替えの時期に、この3つの空間に空気がコンスタントに流れれば、専用の床下換気口と越屋根換気口が閉じられ外気と分断されても、住宅を構成する、ほとんどすべての木材が、流れる空気に触れることになります。

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では、この3ヶ所の、冬期間の空気の流れを見てみましょう。

室内空間自体も、広がりで大きくつながっていますから、温度差による対流で空気が穏やかに流れますし、窓を開ければ抜群の風通しです。後の章で触れますが、パッシブな自然換気口での換気も確保されています。何LDKなどの個室プランでは期待できない、空気の流れがここには存在します。

躯体内空間と通気層での空気の流れを、エアサイクルと昭和52年に名づけましたが、これは空気循環すなわちエアサーキュレーションからの造語でまさしく冬期間の空気の流れを示しています。

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エアサーキュレーションにも二つのタイプがあります。一つは、躯体内空間だけで循環する流れ。そしてもう一つは、通気層と躯体内空間を循環する流れです。

通気層と躯体内空間は上下で連通していて、通気層内は、上昇する空気しか流れない仕組みになっています。すなわち、夜間などに冷やされて発生する下降気流を抑えます。通気層内で発生するわずかな圧力差で開閉する逆止弁を持つダンパーが、その役割を果たしています。

従って、通気層内の空気は、太陽熱や外気温の影響で屋根面や壁面が暖められた時、下部につけられたダンパーから躯体内空間の空気を吸引、通気層内を上昇し、上部につけられた空気取入口から再び躯体内空間に還流する動きになります。

一方、躯体内空間の空気の流れは制御されていませんから、上下するすべての気流を通過させます。それは温度差で動いています。従って、躯体内空間を循環する空気の流れは、通気層に気流が生じていない時にも発生しています。躯体内空間の温度差がほとんどなくなる、夜明け前など、ほんの一瞬を除いて、一日中流れているということになります.

躯体内空間は、構造材や下地材など建物を支える木材の大部分が存在している、とても大切な空間です。この空間に、ほとんど一日中空気が止まることなく流れ続けているありがたさを実感していただけたらと思います。

通気層を構成する胴縁は、同時に屋根や壁の仕上げ材を支える材料にもなっています。この目立たない裏方の材にも、一日かなりの時間、空気の流れがある重要さも、無視できることで風通しのいい夏の家をコンセプトに構成されたパッシブな家づくりでは、衣替えという機能を上手に採り入れることで、床下換気口などが閉じられ外気と分断される冬の間も、建物を構成するほとんどすべての木材に流れる空気が触れるようになりました。

しかも、開発以降25年以上、5000棟余り、安定性の高いシステムであると自負することができます。2003年現在

田中慶明
やっと出会えた本物の家より


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