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家づくりは人生の縮図  やっと出会えた本物の家より

家づくりは人生の縮図

さまざまな方の家づくりのお手伝いをさせていだきながら、いつも感じることは、こんなに勉強になる、修行になる仕事は他にはないのではということです。

とりょうによっては、それだけハードな仕事ということですが、そのハードさの中にこそ、人間成長のきっかけがあるのですから、この仕事にめぐり合えた幸運に感謝の念が絶えません。

真剣に取り組めば、家づくりは、本当に多種多様な人たちと本気で向き合えます。また、通常の仕事のように、組織対組織というあり方ではなく、個人対個人の色彩が極めて濃いのです。

施主も個人です。しかも一人ではなく、複数の方と同時に向かい合わなければ、家づくりはできません。夫と妻、おじいちゃんやおばあちゃん、子どもたち、兄弟、親戚、友人と、最近は家族模様も実に多様化しています。

その一人ひとりが組織に埋もれない顔を持っています。建主も、その関係する家族たちと真剣に会話しなければなりませんし、家のつくり手たちも、建主代表とだけ語り合っていれば済むわけではありません。

色々な人がいる 家族でもいろいろ様々

また、家のつくり手も、昔のように棟梁に任せておけば大丈夫という時代ではなくなりました。手づくりによる注文住宅をベースに考えれば、営業担当、設計担当(これも、基本設計者と実施設計者と複数です)、施工管理担当、そしてそれぞれの部門の管理者と、一軒の家に携わる人間は、最低でも、五、六人は存在します。

これらの人間が、組織に埋没していては納得のいく家づくりはできません。一人ひとりが自分のこととして真剣に取り組まなければならない仕事の内容なのです。

建主家族の中で会話が必要なように、つくり手たちの中で真塾な会話が求められます。そして、建主グループとつくり手グループの対話、それぞれの中だけでも簡単なことではないのですから、双方の複合的対話がスムースにいくことは極めて稀なことです。

さらに現場では、大工をはじめとした多くの職人たちと向き合う必要があります。そして、製材や木材加工、木材製品、設備機器など、さまざまな資材を供給してくれる人々との対話、と、一軒の家ができあがるまでには、本当に多くの人たちとの関係があります。

そして、そのほとんどが組織対組織のクールな関係ではなく、個人対個人のホットな関係なのです。それだけ、手づくりの家は、個人の情熱に支えられている仕事と言えます。この多くの真剣な人間模様のおりなす人生絵図が、家づくりなのです。なかなか壮大なスペクタクルと

はお思いになりませんか。

家づくりは人生勉強

さらには、家づくりの工程が人生の行程に重なり合います。出会い、決心、資金計画、設計、解体、地盤調整、基礎、上棟、木工事、各種工事、チェック、完成、入居、住む、手入れ……とエンドレスにサイクルしていきます。

まさしく、人生の縮図。人は、この人生を真剣に生きるために、過去世も未来世も記憶からはずされています。つまり、現時点では、この一生しか体験できないわけです。

家づくりは、この人生サイクルの疑似体験を数年で行っている、と考えるならば、ありがたい経験であると思われ、より真剣に取り組まなければ、と、いい意味で緊張感を与えてくれます。

家づくりは人生の縮図、これは立場は違いますが、建主にもつくり手にも、当てはまることです。単に、家という物質をつくる作業ではありません。関わる人、それぞれのこころに深く関係した仕事です。家づくりの各工程を人生の行程ととらえられれば、それぞれにとって人間成長につながるのではないでしょうか。

家づくりを通じて成長する

人生とは、生きるとは何か?

まさしく永遠の謎です。どうして生きているのか、生かされているのか、その答えは、私たちのような目覚めていない人間にわかる道理はないのでしょう。それでありながらも、最近、少し納得できる事実を感じるようになりました。それは、人生は関係であるということです。

ありとあらゆるものとの関係の中に生きている、それが人生ということなのでは、と思えるようになりました。

そして、その関係の中で無限と感じられる生を過ごし、やがて目覚める、と。その無限としか思えない生の、ほんの一回の体験がこの生、この人生なのではと思えるようになりました。

関係の中で生かされている、その中で成長のチャンスを与えられているのだと、人生をとらえられるようになってきました。

関係とは、それこそ、すべてとのです。宇宙、星、地球、人間、動物、植物、すべての生命体、衣服、靴、パソコン、カメラ、感情、食事、病気、本、車……と思いつくもの、目の前にあるもの何もかもです。

そして、家づくり。とても大切で真剣な関係です。この関係を大切に生かしていきたい、そういう思いをこめられる、とても素晴らしいチャンスではないでしょうか。

この最大のチャンスを生かして、関わる人、一人ひとりが成長していけたらと念じてやみません。

田中慶明
やっと出会えた本物の家より

いつまでもどこまでも