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建築的手法によるセキュリティ  本質を暮らす贅沢な家より
建築的手法によるセキュリティ
 

尾山台の家は高台の端にあり、門から細長い通路を20mほど入る。住むには落ち着いた環境であるが、周囲に家が建ってしまうと、道路からは見えない袋小路でもある。

泥棒がよろこびそうな敷地といえるし、このあたりの家は一度は空き巣の被害にあっていると聞いて、設計の優先課題にセキュリティも取り上げた。 

警備会社の機械監視システムも導入したが、それ以上に重視したのが、建築的手法によるセキュリティである。 

尾山台の家は健康に住まうというコンセプトであるが、そのための手法も機械設備に頼る前に、設計や工法、素材など建築的工夫で行うことを原則としたPAC住宅である。泥棒などの対策も建築的手法でということは当然の成り行きとなった。 

泥棒は行き当たりばったりに侵入するのではなく、事前に十分下見をするという。どこから入るか、どの時間帯がいいのか、単に建物の観察ばかりではなく家人の行動パターンまで見ているそうだ。泥棒にとって安全な場所、安全な時間に仕事を手早く片づけるための段取りである。 

当初、周囲に家は建っていなかったこともあって、外から見た時に建物の外観から中の様子、間取りの見当がつかないデザインにした。
内部の様子が分かりにくい窓のデザイン

あそこがトイレ、台所、浴室と簡単にはわからない外観である。そうした結果、デザインもすっきりとした外観になった。泥棒対策以上にこのシンプルな外観が気に入っている。ひと言でいえば窓のデザインと配置による

泥棒はどこから入ってくるのか。壁をぶち破るなどの荒手口ではない。ドアや窓などの開口部からである。それならば、泥棒が入れない工夫を開口部に施せばいいとなる。 

尾山台の家では二つの考え方をとった。一つは、人が通れない大きさにする。二つは、それ以外の開口部は簡単に破壊できないようにする。と当たり前のことであるが、意外とこれまではやられてこなかった。 
泥棒の入れない幅の細い窓 泥棒の入れない幅の細い窓 

窓の幅を狭くして人の頭が入らない大きさにした。その分縦に長くして、明るさや通風などを確保する、こんな単純なことであるがほとんど見受けない手法である。
 泥棒の入れない幅の細いジャロジー窓 泥棒の入れない幅の細いジャロジー窓 

尾山台の家のアルミサッシはすべてこの考え方に基づいている。縦の長さも2種類に統一し、デザイン的にもスッキリをねらった。結果は大成功と思っている。明るさも十分であるし通風は抜群である。浴室などはこの細い窓を四つ連ねるなどの工夫も取り入れた、入浴後などの換気に極めて便利である。 

幅の狭い窓の種類はいくつかあるが、尾山台の家ではジャロジー窓を採用した。横に細長い羽状のガラスが重なり、動くタイプである。ジャロジー窓の欠点は、隙間ができる、外から簡単にはずせると、省エネ的にも防犯的にも駄目な窓であった。泥棒の入れない幅の細いジャロジー窓

幅を狭くすることで防犯的には問題解決。そして省エネ的にも大幅に進化した。羽が2枚になり閉めると空気層ができペアガラスと同等の省エネ性を発揮するタイプが登場したからだ。もちろん気密性も良くなり隙間風など入ることはないと工夫次第では良いことずくめである。 

一方、ジャロジー窓の長所は、開く角度が自在であること、すなわち、換気量の調整ができ、透明ガラスでなければ視線のカットも自由になる。開き具合の調整で中は見えない、それでも換気はしている。この特性で、就寝時や外出時にも安心して開けていられる。 

では、大きい窓はどうするのか・これも単純に割り切った。まず簡単には割れないガラスにする。いわゆる防犯ガラスといわれる合わせガラスにした。それも小型バールでも破壊にかなりの時間を要するレベルとした。サッシの開閉も大きなハンドルタイプとしたので、仮にガラスを破壊するにしてもかなり大きな面積をしなければならず、泥棒をあきらめさせる要素になる。
大型ハンドルの窓 大型ハンドルの窓
 大型ハンドル大型ハンドルの窓

次に、夏の日射遮蔽もかねて開口部の外に付けるブラインドを設けた。羽が電動で自在に動き、光や通風を調整できる優れものである。かなり頑丈なもので、網戸にして就寝しても十分な安心感がある。

ブラインドシャッター ブラインドシャッター ブラインドシャッター

外出時には必ず、このシャッターを下ろし羽を開いて採光できる状態にしておく。もちろん、サッシはしっかりと閉じロックをする。二重三重の構えである。

1階も2階も、同じ考え方で開口部は構築されている。

はしごを使って2階の窓を狙っても、ごくろうさまでした、となる。 

玄関のFIX(ガラスを窓枠に固定)の開口部もこの合わせガラスにした。同時に、意匠性と心理的安心感もかねて、内側にスチールの飾り格子を入れた。アイアンクラフトのデザイナーによるものであり美的にも十分満足している。

防犯ガラスのFIX窓とアイアンのデザイン格子 玄関  

玄関ドアは、断熱気密性も十分にあるがっしりとした木製とし、採光のための開口部はなしとしたが前述したFIXの窓で十分に明るい。

ドアの鍵もツーロックとした。これは今では当たり前のことであろうが、工夫したのは、内側からも鍵で開けるということである。いわゆる開閉のためのツマミ、サムターンをなくし、より防犯性を高めた。最近、話題となったサムターンまわしはしたくてもできないことになる。これらの対策で開口部をまず防備した。

 サムターンのないドア サムターンのないドア

もっと安全にと泥棒が開口部まで近づく前にあきらめる工夫をした。PAC住宅は、雨などの跳ね返りで建物が汚れないように、コンクリートのたたき、犬走りを建物周囲にまわしている。

尾山台の家では、この犬走りをコンクリートではなく、小粒の砂利とした。これは皇居に敷き詰められた玉砂利と同じく、音による防犯対策となる。泥棒も建物のまわりを歩くたびに音がしてはたまらないだろう。
 
音の出る砂利 音の出る砂利

ちなみに砂利の下にはコンクリートの犬走りがきちっと打ってある。これは防蟻対策でもある。
 

泥棒対策をもう一歩進めて、建物周囲までも来たくない気にさせるにはどうしたらいいのだろうか。
インターフォン
それは、光と記録である。インターフォンとフラッシュライトのどちらも映像と音声を記録できるタイプとし、建物の周囲に配置した。これは機械的対処でもあるが建築的手法ともいえる。姿かたちがライトで照らされ、さらに記録もされているとなれば普通はあきらめる。
記録もできるフラッシュライト   

記録もできるフラッシュライト  記録もできるフラッシュライト  記録もできるフラッシュライト  記録もできるフラッシュライト  記録もできるフラッシュライト 

そしてわが家の最終兵器。柴と甲斐の子どもたちである。こんなに心強い身内が毎日別時間建物の中に控えている、我々二人が帰宅して車を入れた瞬間、歓迎の挨拶を大きな声でしてくれる。20mも離れているのに。在宅時は、実はインターフォンは要らない、その前に子どもたちが教えてくれる。でも、防犯のために犬を飼っている訳ではない。あくまでも大切な子どもたちなのだ、泥棒対策では決してない。

 ピピももカイ 

セキュリティはまず建築的に

尾山台の家
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