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つくる文化 キッチン 本質を暮らす贅沢な家より

キッチン

家具巡りで目黒から自由が丘まで休日のたびに歩きまわったことは報告したが、同時に手づくりキッチンも研究していた。当時、目黒通り沿いには三軒キッチンをつくれる店があった。二人で何度か訪ね、住宅の設計者にも同行してもらいながら検討を重ねていった。

しかし、何かぴんとこない。心の底に落ちるものがない、感激がないのである。キッチンを手づくりでする、これは家具と違って基本的には二人の間の合意事項であった。システムキッチンは避けたかった。それでも参考までにとメーカーのショールームで参考見積りもしてもらった。その価格は800万と予算を大きく超えていた。でも最初から、手づくりと決めていたので、あくまでも参考、メーカーさんごめんなさい。

オーダーキッチンを探し回る日々

最初からつくるとなると選択肢は広がる。それが魅力であるが悩みの種ともなる。既製鮎と違って、でき上がりを事前には見られない。使い勝手やデザインも実物での確認はできない
また、材料の選択にも悩みぬいた。キッチンの天板ひとつとっても、タイルにしよう、いや石か、やはりステンレスでしょう、いっそ木に挑戦しようかとぐるぐる巡り。

シンクはどうする、ホーロー?ステンレス?と決まらない日々が続く。コンロはガス、IHでオール電化にするか?オーブンは?食器洗い機は?レンジフードもデザインの気に入ったものとなると見つからない。水道の蛇口にもとことんこだわり探す日々。 

インターネットでも時間の許す限り検索した。時間を使った分、膨大な情報が集まってきたが、ぴんとくるよりも先に疲れがきた。もうどうでもいいやと精神が停止状況となり、しばらく休憩と決め込む。心のエネルギーが充電され直観力がよみがえるまで頭の中を空っぽにしておこう。
オーダーキッチンを探し回る日々

しばらくキッチンは頭の中から消えていた。そしてある日、キッチンを検討したくなった。溜め込んでいた情報を眺めていると、一つのホームページが飛び込んできた。それは、ステンレスの手づくりキッチンを扱う辰巳工業。もちろん情報は以前からあったが、休憩を経た新鮮な頭脳に鋭く食い込んできた。
 

ここにしよう、二人にもう迷いはなかった。あとは一直線、住宅の設計者に頼み辰巳工業を呼んでもらった。現れた歯切れのいい人こそ情熱のかたまりといえる斉藤貞勝社長である。出会えたと感じた一瞬である。これだから手づくりは止められない。
 

打合せの過程で東京江戸川にある工場を見せてもらえた。普通の町工場であるが、やはり手づくりの現場はいい、そこには人間がいる人の心を感じる空間がある。つくられている製品の質の高さを十分に理解できた。あとは設計に腐心するのみ。
 

尾山台の家のコンセプトの一つは、「つくる・食べる・片づける を たのしむ」こと。キッチンは二人で十分動けるように大型のものとなった。対面のL字型でワイド3000㎜奥行2600㎜である。そこに、食器洗い機とセミプロ用ともいえるオーブン付きガスコンロを組み込んだ。レンジフードもすでに決まっていた。食器洗い機と同じドイツのミーレ社のもの、ステンレスとガラスフードでそのデザインに惚れ込んだ。

何と、フードは現物を確認しないまま選択したが、結果は大正解、いまだに飽きないデザインしかも掃除などのメンテナンスを含む機能性抜群。蛇口もつや消しのステンレスによる輸入物となった。

 オーダーキッチン

キッチンの下に収納するワゴンもつくってもらった。

キッチン全体の満足度は非常に高い。デザインも仕上げもいい。そして何よりもステンレスそのものが厚い、シンクの部分で1.2㎜、天板は1.6㎜である。この厚さであれば、蛇口から水を思いっきり出しても水はねがない、音も静かである。さらにシンクの側面に凹みをつくり石鹸やスポンジ置き場をセットした。仕上げもバイブレーション加工というつや消しタイプで上品である。
 

キッチンの設計にもずいぶんと時間をかけたが、これは斉藤社長と住宅の設計者そして私たち二人のコラボレーション、経過そのものもずいぶんとたのしませていただいた。これも手づくりの良さと感じる。
 

IHを止めてガスにした理由は、実は電磁波、IHは電子レンジを箱なしで裸で使うのと同じという認識をしている。きれいで安全とずいぶん検討したが、最後は健康をとった。もちろん電磁波の健康被害問題に最終結論は出ていないようだが、君子危うきに近寄らずと、君子でもないのに君子をきどった訳である。

 オーダーキッチンから見る

となればオール電化はくずれた訳であるから、給湯もガスとなった。ヒートポンプ利用のエコキュートもずいぶんと検討した。深夜電力利用で電気代が安いのはとても魅力的であるが、結局タンクに温水を溜め込むスタイル、清潔さに不安感を感じたのと月に一度はタンクの清浄が必要との説明文におじけづき見送ることとなった。
 

蛇口も二転三転した。最初に選んだのは国産のもの、てっきりオールステンレスと思い込んでいたら、実はプラスチックにクロムメッキしたものと判明、国産品はほとんどがそれであると知り、輪入物となった。日本の生産技術の高さ信頼性は評価に値するが、本物づくりとなると大きな疑問符が付いてしまう。結局、量産技術のみが突出しただけで、実質的質の高さ、デザインカはと考えると、ため息が出るばかり・・。

オーダーキッチン オーダーキッチン オーダーキッチン

オーダーキッチン 蛇口が二つ オーダーキッチン オーダーキッチン

キッチンの横をパントリーとし、食品庫をかねた食器棚を戸山家具でつくってもらったが、その奥に、雑巾をじゃぶじゃぶと洗えるSKを置いた。これはシンク部分は辰巳工業、台は戸山家具とやはり手づくりコラポレーションである。わが家のワンちゃんたちもこれで大安心である。
 

若干の反省点、シンクをかなり大きくつくったので奥行きも深い、そのため蛇口の長さが少し足りないかな?
 

調理台ではなくシンクの中で洗い桶の上にまな板を置いて包丁を使う、それならば設計にもう一工夫できたねとの会話も二人で交わしたりするが、別段の不満ではない。まあ、80点以上は間違いなし。次は?もう一工夫で弱点を狙うかと冗談ともつかない会話がはずむほど満たされている。
 

*辰巳工業はその後残念ながら廃業しました。しかし、この経験を機に、当社ではオーダーキッチンのノウハウを高めてきました。現在では、様々なご要望にリーズナブルな価格で対応できるようになりました。


若林礼子 (2008.9故人になりました)
本質を暮らす贅沢な家より


尾山台の家
http://www.passive.co.jp/oyamadai/index.html?utm_source=anothersite&utm_medium=pppaclink&utm_campaign=tanaka


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