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子どもとの距離、子供の成長と子ども部屋  夫婦の生活実感でつくる家より

子どもとの距離、子どもの成長と子ども部屋 

最近やたらと仲の良い親子の姿を見かける。

二○歳過ぎの娘と仲睦まじく手をつないで歩いている母親、デパートで母親に服を選んでもらっているいい年齢の息子、海外旅行を愉しむ親子の姿もこれまた結構多い。

家族揃ってという姿は何ともほほえましいものがあるが、もう成長しきった子どもがいつまでも親と行動をともにしている姿には何か違和感がある。

友だち親子というと美しいのだが、親が子離れしていないのか、子どもが親離れしていないのか、就職試験に母親がついてきた、母親が娘のデートに同行したなどの社会現象は、今の親子関係の一端を現わしているような気がしてならない。

夫婦がこころの距離をどうとるかが重要なように親子も子どもの成長に合わせてこころの距離をうまく見い出していかなければいけないのだろう。

子離れしていない親も困るけれど、子どもは勝手に育つものと、放任主義に徹している親もまた困り者である。

学校に行かせているうちは、先生の責任、先生の責任は学校の責任、こういう親は子どもが就職したら上司の責任、経営者の責任、会社の責任と子どもに教えるのだろうか。

子どもの成長を距離をおいて見守るということと放任主義とは違う。最近は小さい子どもを抱えながらも責任ある仕事を持ってがんばっている女性が増えてきている。

仕事を持つ母親の子どもたちを、かわいそうと評する声がある。本当にかわいそうと言えるのだろうか。

確かに子どもと接する時間は専業主婦より少ない。しかしながら、だからかわいそうという発想はどういうものだろう。

もしかわいそうというのであれば、それは母親が、仕事と家庭の両立を物理的にではなく、精神的にできていない場合だろうと思う。

自分が仕事をしていることで家族や子どもに申し訳ないという気持ちを持つ。挙げ句の果てには家庭内に何かトラブルが生じたとするとそれもみな自分が家庭をおろそかにしているからだと自分のせいにする。

そういう気持ちを抱えながら仕事をするのであれば仕事は辞めた方がよいと思う。

限られた時間の中だからこそ充実した時間を過ごせる。母親が忙しい分、父親、もしくは同居の両親や兄弟姉妹の協力が得られ、家族の緋が強まる。

そうしたプラス思考のお母さんであれば家庭と仕事が両立できると思うし、むしろよい影響を与えることができるのではないだろうか。

現に、生涯仕事を続けたいという女性は、母親が教師や看護婦などをやっていて、小さい頃から母親の働く姿を見ていたという例が多い。

母親が仕事をしているかどうかというよりは、母親が生き生き毎日の生活をしているかが、子どもにとっては重要なのであろう。

まさにヤマアラシの愛である。子どもと一緒の時間が少なくなる分、子どもとのふれあいを密度濃いものにし、お互いの距離が上手に取れたらよいのである。

子どもとのこころの距離を考える時、子ども部屋をどうつくり、どう使うかはとても重要なことになる。

子ども部屋 子どものスペース

少子時代ということが社会問題となっている現代。かってのように六人・七人家族は当たり前という時代ではない。

にも拘わらず部屋数が増えているというのは、家族のそれぞれが個室を所有するようになったからではないだろうか。

しかも四当五落などという言葉がいつから言われるようになったか解らないが、小学校の四年生から受験勉強が強いられる昨今。

確かに子ども部屋は必要だろう。ただ問題は子どもがその個室を使いきれるようにするためのつくり方が重要になってくる。

お決まりのように六畳のドアの個室。フローリングにビニールクロス、ベッドに机では何とも味気ないではないか。

こうした味気ない個室が子どもの数だけ二階に並んでいる家。子どもまで味気なくなってしまいそうな気がしてくる。

子どもが成長するように、子ども部屋だって一○年一日のごとしというわけにはいかないのではないだろうか。

失敗しない間取りはつくりすぎないこと、と述べてきたのは子ども部屋のつくりにも当てはまる。

子どもの創造力を生かすためにも、あまり完壁なかたちで部屋をつくってしまわない方がよいと思う。

一人っ子の場合でも子どもが二人、三人といる場合でも、どう空間を使うかは子どもに任せた方がよいのではないだろうか。

もちろん子どもの言いなりになるということではない。自分の頭で物を考える習慣を身につけさせるためである。

子どもが二人、三人の場合であればお互い話し合って領域を決めるだろうし、二つの子ども部屋を一部屋は勉強のために、そして一部屋は同じ寝室にして使うかも知れない。

既成概念にとらわれているのはむしろ大人の方。できれば個室としないで子どもの数に合わせた適当なスペースを一つ与え、工夫させたらよいと思う。

子どもの成長に合わせてロールスクリーンや家具で仕切る、あるいは計画的に後から個室にもなり得るように建具の入る設計にしておくとか方法はいろいろある。

いずれにしても最初から個室をつくらなければ、またもとの広さの空間に戻すこともでき、生活の変化に耐えられる家づくりができることになる。

子どものこころの成長に合わせてどう子ども部屋を使っていくか。そして必要な時以外は子どもが部屋に閉じこもらないよう、パソコン、テレビ、オーディオなどを子ども部屋に備えないことだと思う。

受験等で子どもが個室を必要とする時代は思春期の悩みを抱えている時。できるだけ家族空間で過ごせる環境をつくってやる必要があるだろう。

本当の意味での友達親子というのは、自分に従属しているあるいは従属されているという関係でなく、親が子を一人の人間として、何を考え、どう生きたいのかを見つめる目が持てるかどうかだと思う。そして親が子どもにどういう生き方をさせたいかは、親がどう生きているかで決まるものだと思う。

若林礼子  (2008.9に故人となりました。)
book 本質を暮らす贅沢な家 より


子ども部屋 オープンな空間