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シンプルに生きる   本質を暮らす贅沢な家より

シンプルに生きる 

尾山台に家をつくると決めた時、「シンプルに生きよう」と二人で思いをあらたにした。別段これまで複雑に生きたり賛沢に暮らしていた訳ではないのだけれど、もっともっとシンプルに生きられるのではという思いが二人の間で共通に育っていた。

身のまわりにこびりついた余分なものを、できるだけそぎ落としたい、簡素ということではないけれど何かスッキリと生きたいという感じである。
もちろん、これは単に、物の話ばかりではなく心もシンプルにということである。

50代のカップル、性欲は過ぎ去り、物欲はもともとあまり大きくはない。名誉欲も権力欲もありがたいことにないといえる。世間体も全く気にしない。もっとも世間に流されないということはそれだけ摩擦係数が高くなり何かと物議をかもしてきたのかも知れない。

我々は何かと共通点が多い。50代半ばと初めで年代も近い。考え方も基本に忠実、この場合の基本とは世間一般常識ではなく自分の頭で考え決めるという自分の常識、この考えたり感じたりするパターンが極めて近い、それが故に若い頃は嵐のようなけんかも日常茶飯事、年を重ねることはありがたいことで、その近さが居心地の良さに変化している。

飲み物、食べ物の噌好は99%イコール、趣味は食器道楽とこれまた共通。方向音痴も似てきてしまった。人間好き、動物はもっと好き。

脳の波動も近いのか、同じことが同時に頭の中に浮かんでいることも多く、異口同音は年がら年中。読書も同じ作者を同時に読むという習慣が続いている。文章も署名がなければ、どちらが書いたか判断は難しいかも、時には本人にもわからないなんてこともある。
シンプルに暮らす

そんな二人が25年も同じ職場で同じ仕事をしている。

そして同じプライベート空間にいる。何ともはや、お疲れさま、お気の毒と思われる方も多いかも知れないが、我々にはこれが自然体。死ぬ時も同じ瞬間と決めている。

死は自分で決定できるものではないのだろうが、きっとそうなると予感している。

その二人が同時に、シンプルに生きたいと尾山台の家づくりを機に真剣に取り組み始めた。

根はもともと単純。シンプルにの実践は、捨てる、徹底的に捨てること、物を少なくしたいとの思いが同時に浮かぶ。浮かべば即実践とこれまたストレート。

マンションから仮住まいに移る時に、まず捨てるの第一弾。仮住まいから移る時に、第二弾と決め込み、とにかく捨てる捨てる。嬉々と整理しながら、一方で自己嫌悪、どうしてこんなに無駄な物が多いのだろう、何とバブリーな感覚だったのか、心の奥底で涙目になる。

捨てた物はさまざまなジャンルに亘るが、数の多かった物は、着る物そして本。幸い、どちらも引き取るショップがあり、ほっともしたが、何ともやりきれない思いはぬぐいきれない。でも、どんどん捨てた。
本はできるだけ少なくした

本は自分の頭の中に流れ込んだ文化文明の記念碑と絶対に捨てない時期もあったが、今は手元に残すのは、しつらえたブックケースに入るだけと決めている。はみ出す物は捨てるという考えである。

頭の中身も捨ててスッキリが理想と心得ている。とらわれない心につながるのではと感じている。無ほどシンプルなものはない、でも、これほどわからないものはない、わからないから難しい。

無はわかりにくいが、心の動きはシンプルにできる。

感情に振りまわされないシンプルさは身につけられる。あれほど感情の激しかった二人がシンプルな心になってきている。

ポイントは簡単明快。頭脳や感情、心の動きをいつも見ている、何を考えている、どんな気持ちになっている、そんな心の動きや変化あるいは停滞している状況を同時に見ている、その様子を理解している、と自分を常時観察できていればOK。

この際重要なことは、そうした心の動きを否定したり肯定したりして、無理矢理変えようなどとしないことである。見ている理解している、それだけで荒波は静かにおさまる、そんなシンプルな心の習慣も同時に育ってきた。

シンプルな心でシンプルな生活をする。

そんな二人が描く生活。まず物は歳を重ねる毎に少なくしていく。尾山台に暮らして半年が過ぎた頃、もう一度、見直しを決意して、使わないにもかかわらず残した物を捨てようとどちらからともなく言い出した。

食は、肉を食べない、オーガニックなものを食べる生活は20年近くになる。野菜と魚とお酒。本当に安全な素材は美味しい。素材をあまり加工しないで食べる食生活はすっかり身についた。和的素材料理と日本酒。尾山台に住んでからは、それにイタリアンのノウハウを加えている。オーガニックワインをはじめ安全なイタリアン食材を手をかけずに調理するノウハウに挑戦している。ノウハウというレベルにははるか遠くに今はいるが..。

そして、子どもたちものびのびと生活してもらう。朝と夜、30分の散歩、もっと長くしてあげたいなぁ−。私設ドッグランが欲しいと思う日々。これは物欲か..。

二人がいる時は、子どもたちはリビングを走りまわる、時に暴れまわるとすさまじい。本人たちは遊んでいるだけと思っているのか。そんな状況でも、家の中はさっぱりときれいにしておきたい、そんな掃除のノウハウを開発中。

掃除ノウハウの基本はシンプル、「汚れる前に掃除しろ」
実に含蓄のある言葉だと思う。
室内を心と置き換える、するとさらに深い。
汚れる前に掃除、心の掃除は簡単だ。掃除機も雑巾も要らない。ただ見つめていればいい。
今、ちょっと汚れたなと自分自身で気づいていれば、その汚れは自然と消える。部屋の汚れもそうだといいなぁ−。

シンプルな生き方をしたいと尾山台の家はシンプルな設計にした。次は、そのシンプルな間取りについて。

若林礼子 (2008.9故人となりました)
本質を暮らす贅沢な家 より


シンプルライフ



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